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京都地方裁判所 昭和52年(わ)1494号 判決

本籍並びに住居

京都市下京区東中筋通正面下ル紅葉町三五九番地

商店従業員

内畑昌彦

昭和七年七月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官岡戸久次出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都市下京区東中筋通正面下ル紅葉町三五九番地において、妻内畑清子が経営する法衣生地卸業内畑商店の従業員で、同店の業務全般を統轄していたものであるが、同店の業務に関し、その所得税を免れようと企て、

第一  同店の昭和四九年分の総所得金額は五、八〇三万二、八九〇円で、これに対する所得税額は三、〇三九万七、五〇〇円であつたにもかかわらず、公表経理上、売上の一部を除外し、あるいは、決算に際し、売上の一部を繰り延べるなどして所得を秘匿した上、同五〇年三月一五日同区間之町五条下ル大津町八番地所在の下京税務署において、同税務署長に対し、同店の同四九年分の総所得金額は一、六二一万三、一五五円で、これに対する所得税額は五二三万六、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右正当な所得税額と右申告にかかる所得税額との差額二、五一六万〇、九〇〇円を免れ、

第二  同店の昭和五〇年分の総所得金額は七、八八四万八、三二九円で、これに対する所得税額は四、四二六万〇、六〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五一年三月一五日前記下京税務署において、同税務署長に対し、同店の同五〇年分の総所得金額は二、二六五万〇、一一四円で、これに対する所得税額は八一七万三、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右正当な所得税額と右申告にかかる所得税額との差額三、六〇八万七、六〇〇円を免れ、

第三  同店の昭和五一年分の総所得金額は九、七六二万五、五二四円で、これに対する所得税額は五、八二一万三、三〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿したうえ、同五二年三月一五日前記下京税務署において、同税務署長に対し、同店の同五一年分の総所得金額は三、五七三万三、七三二円で、これに対する所得税額は一、五五九万六、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右正当な所得税額と右申告にかかる所得税額との差額四、二六一万六、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

検察官請求証拠関係カード中の番号2ないし88の証拠の標目と同一であるから、これらを引用する。

(法令の適用)

各事実につき 所得税法二四四条一項、二三八条(併科刑選択)

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文一〇条、四八条二項

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑につき)

(裁判官 吉田治正)

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